Xで話題政治・経済注目記事

ホルムズ海峡緊迫化で“家計直撃”の危機!「電気代、ガス代」に続き『洗剤まで!?』日用品高騰が招く“見えない値上げ”の波

SHARE

米国がイランの核施設を攻撃したことを受け、イラン議会がホルムズ海峡の封鎖を決定したと報じられ、世界のエネルギー供給の生命線がかつてないほど緊迫化しています。この狭い海峡は世界の石油・ガス輸送の2割を支える要衝であり、日本が中東からの原油輸入の約95%を依存し、その8割のタンカーが通過する「日本のエネルギー安全保障の生命線」でもあります。専門家は、もし海峡が封鎖されれば原油価格が即座に急騰し、ガソリン価格や電気代、ガス代の高騰はもとより、私たちの食卓や暮らしを支える日用品にまで深刻な「見えない値上げ」の波が押し寄せると警鐘を鳴らしています。

世界のエネルギー動脈が止まる時、日本経済への衝撃

ホルムズ海峡は、イランの南に位置するペルシャ湾とアラビア海を結ぶ、最も狭いところで幅わずか30キロあまりの重要な海峡です。イラン、サウジアラビア、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦などで生産された石油やLNG(液化天然ガス)がタンカーに積まれ、海上輸送ルートとしてこの海峡を通過します。アメリカのエネルギー情報局によれば、世界の石油消費量のおよそ20%がここを通過しており、「世界で最も重要なエネルギーの輸送ルート」とも呼ばれています。

日本は原油の90%以上、LNGも10%近くを中東からの輸入に依存しており、日本へ向かうタンカーの8割がこの海峡を通過しているため、その重要性は計り知れません。すでにイスラエルが6月13日に空爆を開始して以降、石油タンカーの運賃は約90%も上昇しており、事態の悪化は避けられない状況です。

電気代・ガス代だけじゃない!私たちの「洗剤」まで高騰する現実

原油価格の高騰は、ガソリン代だけでなく、物流コストの上昇を通じてあらゆるモノやサービスの価格に波及します。特に、洗剤やプラスチック製品、合成繊維を使った衣料品など、製造過程で石油由来の原料を多く使用する日用品への影響は避けられません。製造コストや輸送コストが増大することで、スーパーの棚に並ぶ製品の価格がじわじわと、あるいは一気に上昇する可能性があります。

大手商社の関係者も「紛争がさらに拡大した場合、中東地域全体のビジネスを見直すことにもなりかねず、状況を注視している」と懸念を示しており、企業は既に対応を迫られています。

三井物産や丸紅などは、イランの首都テヘランにいた駐在員を隣国のアゼルバイジャンに退避させる動きも見せています。

「最悪1バレル120ドル」も?専門家が警鐘を鳴らす物価高騰リスク

野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト木内登英氏は、これまでイランとイスラエルの軍事衝突で1バレル=70ドル台となっていた原油の先物価格が、アメリカの介入でステージが変わり、週明けの市場では80ドル台に上昇する可能性が高いと指摘しています。「軍事力で劣るイランがアメリカに対抗する唯一の手段」としてホルムズ海峡の封鎖に踏み切る可能性を市場が意識し始めれば、価格は90ドル台、そして「最悪の場合は120ドル近くに上昇する」と警告。これは世界経済全体を下押しする大きなリスクとなると分析しています。

日本経済にとっても、この原油高は「物価高、消費の下振れ、輸出の下押し」に続く“第三のリスク”として立ちはだかります。もし原油価格が80ドル台後半まで上昇すれば、日本のGDPは0.3%程度押し下げられることに、私たちが肌で感じる家計への打撃は、想像以上に深刻なものとなるでしょう。

日本の240日分備蓄と「静観」の戦略

日本の石油備蓄は現在、約240日分あるとされています。これは一定の猶予期間を示しますが、もし事態が長期化すれば、備蓄だけでは賄いきれない事態も起こり得ます。国内では「コメの時のような混乱」を避けるべきだという声も聞かれます。

ある専門家は、日本が取るべき生存戦略として「絶対に関わらない事」を提唱していますが、エネルギー供給の生命線が脅かされる中、私たち一人ひとりの生活への影響は避けられない現実となりそうです。

最新記事

おすすめの記事

最新の記事