クルマの税金が変わる時代へ
2025年度から、日本の自動車税制度が抜本的に見直される方向で進んでいます。これまで複雑で分かりづらかった「取得時」と「保有時」の課税体系がシンプルかつ公平に再編される予定で、自動車ユーザーにとっても注目度の高い話題です。
今回は、現在進められている議論の中身や今後のスケジュールについて、独自の視点で整理・解説します。
変更のポイントは「取得時の軽減」と「保有時の簡素化」
今回の見直しの中心となるのが、以下の2点です。
- 取得時の課税の簡素化(環境性能割の廃止)
- 保有時の課税体系の統一(重量税と自動車税の一本化)
これまでは、車を買う際に「消費税」「環境性能割」、保有する際には「自動車税(または軽自動車税)」と「重量税」が別々に課されてきました。しかもそれぞれの計算方法や税率が異なっており、ユーザーにはわかりにくい制度でした。
今回の改正では、これを重量+環境性能に応じた一本化された課税体系にする案が出されています。
なぜ「重量ベース」の税制になるのか?
背景にあるのは、EV(電気自動車)やハイブリッド車の普及です。これまで課税基準だった「排気量」はEVには通用せず、環境性能の違いを公平に評価するのが難しくなっていました。
そのため、**車両重量を基準にして、そこに環境性能を加味した“新しい税制度”**を構築しようという流れになっているのです。
この方式では、重量が重く、環境性能の低い車ほど税が高くなる「階段付け」と呼ばれる設計が検討されていますが、その基準の設定が非常に難しく、現在も関係者の間で議論が続いています。
いつ決まって、いつから変わるのか?
税制改正は、国の予算編成スケジュールに沿って進められます。
- 8月ごろ:財務省に提出される概算要求までに基本案がまとめられる
- 12月ごろ:「令和8年度税制改正大綱」に盛り込まれる予定
つまり、2025年度(令和7年度)中には最終決定され、早ければ2026年度からの新税導入が想定されています。
ガソリン税の見直しはどうなる?
あわせて注目されているのが、ガソリン税や軽油税といった燃料課税の見直しです。
現在、暫定税率とされている部分を廃止すべきという声が強く、物価高騰が続く中でユーザー負担軽減のために燃料税の引き下げを求める動きも高まっています。
ただし、財源確保の観点からは簡単に進まないのも事実で、自動車課税の見直しと並行して、慎重に検討が進められている状況です。
ユーザーとして準備すべきことは?
まだ制度の全容は見えていないとはいえ、私たち自動車ユーザーが備えておくべきポイントもあります。
- 今後、EVやハイブリッドへの買い替えを検討している場合、新税制度により減税メリットが得られる可能性がある
- 重量ベースの課税となると、車体の大きさがコストに直結するため、車種選びに影響が出る
- 環境性能が良い車は減税になるため、エコカー選びが今後さらに重要になる
今後の情報に注目を
現在はまだ「議論の途中」ではありますが、2025年度以降、私たちのカーライフに大きな影響を与える税制改革となることは間違いありません。
8月頃の中間発表、そして12月の最終発表まで、政府や業界団体の動きに注目しながら、ライフスタイルや車の使い方に合った選択ができるよう、情報収集を怠らないようにしましょう。